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読書三昧の日々

映画・ミケランジェロの暗号

2011/09/25
映画&ドラマ 3
 
2010年 オーストリア
原題 Mein bester Feind (英語 My Best Enemy)

いつも感じること
なぜ邦題になるとタイトルがこうも変わってしまうのか
暗号がメインになる映画ではなかったと思うのです

1938年、ウィーン
画廊を経営する裕福なユダヤ人一家、カウフマン家
新進画家モーリツの個展オープニングの日、巷で噂のミケランジェロの絵に関する質問が飛び出した
今は、その絵は手元には無いと説明する父ヤーコプ
しかし、その夜、酔っ払った息子ヴィクトルは、絵のありかを親友のルディに教えてしまう
SSに入隊したルディは手柄をあげるために密告、絵はドイツ軍に没収された上、ヴィクトル一家は収容所送りになる
ヤーコプは収容所で死亡
母とヴィクトルは別々の収容所に入れられ互いの安否もわからない
 
ルディというのは長年カウフマン家に仕えた使用人の息子で、家族同然に育てられたものの、やはり裕福な家の息子と使用人の息子の違いは埋められるものではなく、ルディの心の中には鬱屈した思いが溜まっていたのです
 
ムッソリーニにミケランジェロの絵を送り独伊交渉成立させようとするベルリン
しかし没収した絵が贋作と判明、ルディは真作を手に入れるよう命令され収容所にいるヴィクトルを訪ねる
その後の展開でヴィククトルはルディと身分を入れ替えることに成功
俄然面白くなります
裕福な家の息子と使用人の息子
その立場がユダヤとナチSSとなり逆転
さらに身分の入替えによりまた逆転
何度もバレそうになりながら運を味方に母親と恋人ルナと共にスイスへ脱出するところまでこぎつけます
ところが…
さらに二転三転
一体どうなっていくのか
 
人の良いヴィクトルに比べ画廊の創業者父ヤーコプはやはりそれなりの人物で、色々と手を打っていたようです
可愛がっていた新人画家モーリツが終盤になって俄然生きてますし
 
ナチスとユダヤを扱うと大体想像される内容とは若干の違いがあります
ヴィクトルを犠牲者ではなくヒトラーの時代を巧みに生き抜いたヒーローとして描いているのでそれほど重苦しい作品にはなっていません
 
本物のミケランジェロの絵がどこにあるのかは父の遺言(これがミケランジェロの暗号となります)で想像がついてしまいましたが面白い展開でした

 
ラスト
ヴィクトルと母、恋人のレナの3人が口元に薄らと笑いを浮かべ立ち去る
それを見送るしかないルディ
4人の表情がなんとも良い
ヴィクトルがルディを憎まなかった、というのも良かったです
 
ミケランジェロの絵を巡る知的バトルは小気味良い結末を迎えました
 

 
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Comments 3

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こに

No title

ゆずにすももさん

映画をご覧になれば、誰にとって誰が一番の敵か
そしてworstではなくbestが使われている意味がわかります
オススメの映画です (^.^)
逆境にある時もユーモアとジョークを忘れない、そういった部分は日本では通用しませんよねぇ
夢千代日記、懐かしいです

2011/09/26 (Mon) 19:54

ゆずにすもも

No title

おっと。検索したらこれって少し斜めな映画なんですね。いつか見てみたいです。

2011/09/26 (Mon) 12:38

ゆずにすもも

No title

My best enemy ですか。外国だとそれで話が通じるのですね、予告とかでわかるのでしょうか?アンフェア みたいなものでしょうか?
こういう時代が映画になるんですね。日本はちょっと難しいかな。
ふと夢千代日記とか花へんろとか思い出しました。時代の空気を是とするかどうか。みてないのですが、すみません。

2011/09/26 (Mon) 12:34