井上靖「夏草冬濤」
1964年6月 新潮社より刊行
新潮文庫
1989年5月 発行
2009年年8月 26刷
解説・小松伸六
上巻423頁
下巻371頁
新潮文庫
1989年5月 発行
2009年年8月 26刷
解説・小松伸六
上巻423頁
下巻371頁
幼少期を描いた「しろばんば」につぐ作者の中学時代を描いた自伝的小説
三島の叔母の家に下宿して片道約4kmの道を徒歩で沼津の中学に通う
自転車通学、電車通学をする者もいるが、友人と遊びながら通う毎日には徒歩組の楽しさがあった
自転車通学、電車通学をする者もいるが、友人と遊びながら通う毎日には徒歩組の楽しさがあった
徒歩組の友との喧嘩、性への目覚め、憧れの上級生たちの仲間に入れた喜び
お正月に湯ヶ島に帰省した折、村の子供達の純粋な様を見たり、自分を育ててくれたぬい婆さんや先祖の墓参りをしたりして自分が子供だったあの頃から成長してしまったことに気づく
上級生との付き合いが深まるにつれ、徒歩組の仲間だった同級生が面白みのないつまらない人間に見えてくる
自分自身気づかないでいる、沼津の親戚の女の子や次に下宿する予定のお寺の娘さんへの漠然とした慕情
普通なら両親と暮らしている年齢であるのに、伯母の家に下宿しているという特殊な環境に気付き始める
自分自身気づかないでいる、沼津の親戚の女の子や次に下宿する予定のお寺の娘さんへの漠然とした慕情
普通なら両親と暮らしている年齢であるのに、伯母の家に下宿しているという特殊な環境に気付き始める
湯ヶ島で育った自然児、洪作の少年と青年の間の揺れ動く心と成長が瑞々しく描かれていいます
子供なら誰もが通る道です
自分も、洪作と同じように周囲が愚かしく見えたり、大人に反抗したり、或いは突然素直になったり、感情のコントロールが難しい時期がありました
現代の子供たちは、洪作のように心のうちをストレートに言動に表せているでしょうか
目の前に、洪作のような子供がいたら「もう!お願いだから!」と言いたくなるでしょうが…
洪作少年は柔道が得意です
事実、井上靖氏は中学時代は柔道に明け暮れていたそうです
事実、井上靖氏は中学時代は柔道に明け暮れていたそうです
本書に書かれていることが全て真実というわけではなく、鞄紛失事件などの面白可笑しい事実は少なく虚構で作り上げられた部分が大半の物語のようです
心が爽やかになる一冊でした
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