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読書三昧の日々

北重人「夜明けの橋」

2010/08/17
北重人 0
大学で建築を学び、56歳で小説家として本格デビューするまでは造園・都市計画コンサルタント業務に携わっていた北さん
建築家として、町づくりの専門家としての職業柄、東京を歩くようになり、東京の前身、江戸を知りたいと思うようになったことから時代小説を書き始めたそうです
遅咲きの本格派として注目されていましたが昨年8月、61歳で逝去
本短編集が遺作となってしまいました

何れも開府まもない江戸の話
『ブラタモリ』をふと思い出したりなんかします
登場人物は武士の出でありながら時代の流れの中で武士の身分を捨てた男達
彼らがどのように人生を切り開いていったのか、が語られます
戦に明け暮れていた頃の思い出話、豊臣が敗れ、時代の流れの中、故郷を捨て江戸に出て来てからの苦労話
登場人物の現在より過去の話が多いのは、死期が近いと悟った北さん自身の思いが反映されているのでしょうか
 
 
「日照雨(そばえ)」
刀屋の宗五郎
祖父の時代までさかのぼり、どのようにして自分が刀屋になったかを振返る
 
 
「日本橋」
家康の命により大埋め立て事業が進む江戸
その中の日本橋建設の過程を少年の視点から捉える
わしは普請が好きだ、普請は物を造る喜びよ、それに衆の働く姿がわしに力を与えてくれる、普請はわしの生きる力よ
建築家の思いそのものです
 
 
「梅花の下で」
今は薪炭の商人として成功している男のところに、かって戦乱の時代をともに生きた友人が訪ねてくる
終盤の迫力が凄いです
商人の道を選んだ男の心は未だに武士なのです
 
 
「与力」
廓の用心棒の男が火付盗賊を追及する話
江戸という町が拡大していくと同時に夜盗や諸国のあぶれ者たちが江戸に集まり治安が悪くなっていく
江戸開府当時の社会情勢が焦点になっています
 
 
「伊勢町三浦屋」
実在した人物、武家相手の塩物の魚を扱う商人、三浦屋五郎左衛門の視点で江戸の町づくりが回想されます

連作は7話で完結する予定で
書かれずに終った2話は女性の目線を取り入れようとしていたそうです
 
これから、さらに素晴しい小説を書いてくださるだろう、と期待していたのですがわずか5年の作家生活
本当に残念です
 
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