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読書三昧の日々

池澤夏樹「花を運ぶ妹」

2010/02/24
池澤夏樹 0

インドネシア・バリ島
ヘロイン所持で逮捕され死刑になるかもしれない画家・哲郎
フランス・ソルボンヌ大学へ留学後、通訳などをして生計を立てている哲郎の妹・カヲリは兄を無実の罪から救い出すためにバリ島へ飛ぶ

兄の独白と妹の語りが並行して進みます


日本領事館に救いを求めるも、国が圧力をかけるのは難しいとの返答
カヲリは伝を頼り、インドネシアと強いパイプを持つ老人の応援を得ることが出来た
しかし、カヲリが持っているヨーロッパ人の基本である議論の思想、言葉で優劣を決める、という考え方はインドネシアでは通用しない
ヨーロッパとアジアでは人の基本のスタンスが違う、立っている姿が違う
悩みながらもバリ島のダンスや自然から、前向きに戦う意志を強くするカヲリ
結局、哲郎の逮捕はバリ警察署長の陰謀であることが判明し死刑は免れる
過去、ヘロイン中毒患者であり、今回も注射したという事実があるので2年の服役となりましたが…

バリ島とは
怪しい霊やら神様どもがことを動かし、それを味方に付けた者が勝つ島
善悪がはっきり決まりすぎているから、善と悪がよく入れ替わる
善は悪であり、悪は善でもある
両義的というか二元論的というか、ともかく単純じゃない

カヲリが兄を救うために奔走したことも警察署長が失脚し哲郎が死刑を免れたのも、、なんだかわかんないけど、そういう運命だったってこと
バリ島とはそんな島だってこと



目の前のテーブルの向こう半分に日が射し、こちらの半分は蔭になっていました
そこをアリが一匹歩いています
蔭の中を歩いていたアリはもう少しで光の中へ出ようとしている
でもアリはそのことを知らない
光の中に出ればアリの体温は上がり、活動は活発になり、元気でうれしくなるのだろう
人間だって同じはず、とわたしは考えました
哲郎が歩いているうちにたまたま蔭の中に入ってしまい、そのあとを追ってわたしも蔭に入った
暗い冷たいところでうろうろしている
でも上から見ている誰かには、わたしたちがもうすぐ光の中に出ることがわかっている
あるいはまだまだ蔭が続くことが見えている

カヲルの考えがヨーロッパからアジアに移っていくあたりは非常に興味惹かれました
世界の様々な国家、民族
一方が善、一方が悪と決め付けず理解しあうことが大切です

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