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読書三昧の日々

ヒルトン「チップス先生さようなら」

2023/07/24
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#読書#本#本レビュー#ヒルトン#チップス先生さよ


訳・菊池重三郎
新潮文庫
1956年7月 発行
1987年4月 70刷改版
1993年 85刷
解説・菊池重三郎
108頁

霧深い夕暮れ、炉辺に座って回想にふけるチップス先生の胸に、ブルックフィールド中学での六十余年の楽しい思い出が去来します
腕白ですが礼儀正しい学生たちとの愉快な生活、美しく聡明だった亡き妻、第一次大戦当時の緊張した日々
愛情に満ち、洒落の名人でもある英国人気質の老教師と厳格な反面ユーモアに満ちた英国の代表的なパブリックスクールの生活を描きます

ピーター・オトゥール主演で1969年公開の映画を観て、原作もと思い読んでみました
映画ほどは妻となった娘といってもいいほど年の差があるキャサリンに重きを置いていません
しかし、彼女との結婚で、チップスという人間に潤いが加わり、生徒に対して厳格さが消え、うけが良くなり、尊敬や愛情が得られるようになったことは確かなようです
彼は依然として保守的であった
だが、相手の意見を受け容れなかったにしても、吸収することはした
すなわち、彼女の若々しい理想主義が、彼の成熟に作用して、極めて温厚にして賢明なる一個の合金(アマルガム)を作り出したというわけである


キャサリンは出産時に子と共に亡くなってしまいましたが、その後の長い独身生活においてキャサリンとの思い出はチップスの支えとなりました

関わった生徒たちの顔と名前を覚えていて常に洒落を忘れず63年もの長い年月をブルックフィールドで過ごしたチップスは、実の子はいなかったけれど何千人もの子どもたちに囲まれている夢を見ながら1933年、85歳で静かに息を引き取りました

イギリス人独特のユーモアや洒落はよくわかりません
でも、変わらぬ信念のもと生徒たちを愛し愛された一人の老教師の生き様に静かな感動を覚えました
中身の濃い108頁
原作と映画、どちらも良かったです

20230401チップス先生さようならs


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