佐藤正午「鳩の撃退法」
小学館
2014年11月 初版第1刷発行
上巻 476頁
下巻 477頁
かつて直木賞も受賞した作家・津田伸一は、とある地方都市で銀行員の女性宅に居候しながらデリヘル嬢の送迎ドライバーをして糊口をしのいでいます
以前から親しくしていた古書店の店主の訃報が届き、形見のキャリーケースを受け取ったところ、中には数冊の絵本と古本のピーターパン、それに三千枚を超える一万円札が詰め込まれていました
その中から行きつけの床屋で使った最初の一枚が偽札であったことが判明
偽札の出所を探っているのは警察ばかりでなく、裏社会の“あの人”もらしい…
“あの人”がじわじわと近づいてきたことから東京へ逃げることにする津田
上巻は地方都市版、下巻は東京版で語られる物語
キャリーケースの大金はどこから流れてきたものなのか
忽然と姿を消した幸地一家
妻である幸地奈々美と不倫をしていた郵便局員・晴山の失踪
多くの人々の運命を狂わせたあの雪の夜の邂逅が全ての物語の始まりでした
深まる謎と伏線の回収の繰り返し
特に下巻終盤の、あの雪の夜の出来事はワクワクが止まらなかったです
伊坂幸太郎さんを諄くしたようで冗長に感じる部分もありましたが面白かったです
読み終わってから上巻冒頭の一文を見て納得
この物語は、実在の事件をベースにしているが、登場人物はすべて仮名である。僕自身を例外として。
津田伸一
一番最初に読んでいたはずが、すっかり記憶の彼方、というか佐藤正午さんの術にハマって、消え去っていました
自分は大変面白く読みましたが、はっきりとした結末を望む読者にはモヤモヤが残る結末だったかもしれません
内容を忘れないうちにと映画も観ました

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