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読書三昧の日々

皆川博子「みだら英泉」

2019/02/27
皆川博子 0

河出文庫

20173月 初版発行

解説・門賀美央子

214

 
 

文化文政時代、ただひたすらに「己だけの女」を求めて、美人画に枕絵に絵筆をふるう浮世絵師・渓齋英泉

お津賀、おたま、おりよ、三人の妹の生をも搦めとった果てに見い出したのは―――

爛熟の江戸を舞台に、絵師の凄まじいまでの業を妹たちの情念が濃艶に花開く

 

英泉の妹たちについては実在した人物であることは確かなれど、その名前も生涯も詳らかではなく、相次いだ両親の死による一家離散は史実ですが、それ以外の人生や人物像も著者の想像によるもの、とのこと

自堕落ゆえ栄泉のミューズとなるおたま、そんなふたりの関係に悋気の炎を燃やすお津賀、兄姉たちの葛藤を冷ややかに見つめるおりよ

腹違いの兄を挟んでせめぎ合う女の業と、それすら養分にしてしまう画家の業

時代小説ながら絵師の自我形成を深く穿つ現代的な小説は、とにかく濃密で強烈でした

 

英泉のことはあまり知らなかったのでネットで調べてみました

実際は本作ほどエキセントリックな人物ではなかったようですね

またしても皆川ワールドにしてやられました

 

宮あおいさんが北斎の娘・お栄を演じたドラマでは英泉(善次郎)役は松田龍平さんでした

ピッタリだわぁ


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