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読書三昧の日々

福永武彦「草の花」

2009/09/03
福永武彦 4

福永武彦さんの作品の中で一番好き
美しい文章、選び抜かれた言葉の数々に、惹きつけられます


戦後まもなくのサナトリウム
結核の療養にきていた私は汐見という青年と出会う
彼は2冊のノートを私に残して自殺行為とも思える手術を受け帰らぬ人となる


汐見の残した2冊のノートには彼が18歳の時、24歳の時に求めた二つの愛について書かれていた

研ぎ澄まされた理知ゆえに後輩の藤木忍との純粋な愛に破れ、藤木の妹との恋にも挫折した汐見
まだ熟れきらぬ孤独な青年の愛と死が描かれています


汐見の孤独は理知からきている
理知が彼を潔癖にし、潔癖が妥協を許さない
そのために彼は友を失い恋人を失ってしまう


愛する事の困難さ、他人と理解し合う事の難しさ
人生に於いて最大のテーマが描かれています
キリスト教の神との対比などもあり多少難解に感じる点があるかもしれませんが
人生において困難にぶつかった時に、ある方向を指し示してくれる作品だと思います

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Comments 4

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こに

No title

リトルムーンさん
ありがとうございます。
ブック・アサヒ・コム、読みました。
分かりやすいですね。
すずらん本屋堂という番組を知りませんでした。
NHKの週刊ブックレビューが終わってからこういった番組を見ていなかったです。
平日夜なので毎週録画して見たいと思います。15日はゲストが西加奈子さんだし。
本当にありがとうございました!

2013/01/13 (Sun) 10:16

リトルムーン

No title

こにさん、こんばんは!

えー、その後、わかめさんからも、朝日新聞の記事が知りたいというリクエストがあったので、調べましたです~。

宮崎美子さんがブックレビューを書いていて、その中で話題が広がった、、、らしいです。

その宮崎さんの記事がですね、http://book.asahi.com/reviews/column/2012091600025.html
↑こちらでございます。

なんかね、読書会にでも誘われたような、なんかいい感じの雰囲気ですよー。

2013/01/12 (Sat) 21:15

こに

No title

リトルムーンさん
あの長文、素晴らしいです!
あれだけ書けるということはそれだけ思い入れが強いということ、情熱に圧倒されました。
本作を最初に読んだのは高校生の時で2009年が再読だったのですが、「昭和の純文学作品」は健在でしたね~。
千恵子の手紙、昨晩もう一度読みました。
あ~、なんと知的で心の底からの思いを載せた手紙なのでしょう。
あの頃って、本当にアカデミックで頭の良い人たちがたくさんいたんですよねぇ。

2013/01/11 (Fri) 13:26

リトルムーン

No title

わー、さすがだぁー。
すんごく分かりやすく紹介されていますぅ。

この本を紹介するのに、私は随分と文字数使っちゃいました。
すんごい中身が濃くて、どーすればいいの!みたいに、そんな結果があの長文でした^^;

だれも読んでくれないだろうなぁーと思いつつのアップでした。デヘ^^

2013/01/10 (Thu) 17:56