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読書三昧の日々

宮本輝「避暑地の猫」

2017/04/13
ま行の作家 0

講談社文庫

20077月 第1

19883月に講談社文庫より刊行されたものを改訂し文字を大きくしたもの

(文字が大きいと助かります^^

解説・池内紀

276

 
 

雨に始まり雨に終わる避暑地の物語

 

雨の降る中、休暇を取り家族と軽井沢へ出かけようとしていた医師

出発間際に急患が入って病院に戻る羽目になります

緊急手術を終えたあと、仏心を起こしたばかりに四か月の入院生活中ほとんど口をきかず精神科へ廻す必要が囁かれていた久保修平という入院患者につかまってしまいます

いままで沈黙を通してきた彼自ら医師に話しかけてきたのでした

 

自分が軽井沢で生まれ育ったこと、両親の仕事、雇い主との関係、そして15年間に渡り隠し通してきた修平17歳の夏に起きた悲惨な事件の真相

 

始めのうちは医師として精神科へ廻すかどうかの判断を兼ねて聞いていましたが、やがて久保修平の嘘か誠が判断しかねる、告白でもなく懺悔でもなく回想でもない、不思議なひと夏の出来事に時を忘れ一心に耳を傾けるようになっていきます


 

先に読んだ「解錠師」と同じ17歳の夏の出来事が修平の人生を大きく変えます

少年から青年になりかかった年頃が持つ、自己中心的な考え方、他者への軽蔑、嘘などが重なって起きてしまった悲劇

人間の心の奥に潜む「魔」を描ききった小説

発表されたのは1983年ですが全く色褪せていません

さすが宮本輝さん

 
 
 
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