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読書三昧の日々

川上弘美「センセイの鞄」

2014/02/15
川上弘美 6

文春文庫

20049月 第1

20127月 第17

解説・木田元

270

 
 

駅前の居酒屋で高校の恩師と十数年ぶりに再開したツキコさん

憎まれ口をたたき合いながらセンセイと肴をつつき、酒をたしなみ、キノコ狩りや花見、島へと出かけた

歳の差を超え、切ない心を互いに抱えつつ流れてゆくセンセイとツキコさんのゆったりとした日々

 
 
 

居酒屋で先に声をかけてきたのはセンセイ

名簿とアルバムでツキコさんの名前と顔を確認済だったようです

「キミは顔が変わりませんね」

ツキコさんのほうは「はぁ~」って感じ

そういえばこの先生に国語を教わった…名前が出てこない…

というわけで「センセイ」と呼ぶことに

 

特に約束をするわけでもなく

居酒屋で偶然会えば一緒にお酒を飲み、二軒目へはしごしたり、そのままそれぞれの家に帰ることもある

まれに三軒目四軒目までまわると、たいがいセンセイの家で最後の一杯をしめくくることになる

「ま、近くですから、お寄りなさい」と最初にセンセイが言ったときには少し身構えたツキコさんですが、格別なことが起こるわけでもなく、またお酒を飲んでとりとめの無い話が続く

 

一緒の時間を過ごし、会話が積み重ねられていくに従いツキコさんの中に膨らんでくるセンセイへの思慕

親子ほども年が離れているのですが、全く違和感がありません

ツキコさんにはセンセイが必要なのです

ただ、それだけ

 
 

物語は全部で22の章にわかれています

中の、センセイと口をきいていない、で始まる章「二十二個の星」のラストがとても素敵でした

口をきいていない原因は居酒屋で流れていたラジオの野球中継で、センセイが読売ファンでツキコさんがアンチ読売だと判明したこと

これはやっかいだ、と思いましたが

ツキコさんの気持ちはそこを簡単にクリアしてしまいます

もっと二人の『ケンカ』を楽しみたかったのですが

とても素敵なラストに『ケンカ』の原因なんてどうでもよくなりました

「さようなら」といって別れた後に満ち足りた気持ちを残してくれる相手にはそうそう出会えるものではありませんね

 
 

凡人は歳の差恋愛には障害も多かろうと想像してしまいますが、何となく、何ともなく、淡々と、しかし真面目に次のステップに進む二人

最終章「センセイの鞄」の最後の3頁はジワリ泣けてきました

 

15万部も売れてベストセラーになったというのも頷ける作品でした

 
 
YouTubeで見たキョンキョンと柄本明さんのツキコさんとセンセイ
イイ感じ(^_^)
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Comments 6

There are no comments yet.

こに

No title

supernovaさん
保存版ですね。^^
少し普通ではない設定でも川上さん独特の雰囲気で嫌味なく読めてしまいました。
キョンキョンのTVドラマを全編見たいです。

2014/02/21 (Fri) 08:11

supernova

No title

この本大好き♪
手元に置いておきたい本の1冊で、そのうち手に入れようと思っていたところ、こにさんのブログ拝読して、
また無性に読みたくなりました。

2014/02/20 (Thu) 07:59

こに

No title

アー君さん
我が家、大量のVHSテープをどうするか、話題に出しては立ち消えを繰り返しています。
捨てられないしネ。

2014/02/16 (Sun) 14:19

こに

No title

夕凪日和さん
馴染のある場所も作家さんの目を通すととても魅力的に描かれて嬉しくなりますね。
何気ないものを掬い取って文字に著す、そういう才能が欲しいなぁ~。

2014/02/16 (Sun) 14:17

アー君

No title

あ、ぼく、そのキョンキョンと柄本明のドラマ録画したVHS、大事にとってあります。
今、VHS観られませんが・・・

2014/02/15 (Sat) 22:09

夕凪日和

No title

このお話し好きでした!
美しい方ですよね。
本のストーリーが、私の、実家のそばであったりすると
テンション上がります…(*^^*)

2014/02/15 (Sat) 18:48