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読書三昧の日々

荻原浩「誰にも書ける一冊の本」

2014/02/10
荻原浩 6
光文社文庫
20139月 初版第1刷発行
解説・重里徹也
144
 
 
20116
光文社から「テーマ競作 小説 死様」と題して刊行された単行本6冊の中の1冊です
 
1957年、北海道生まれの主人公「私」
大学進学を機に上京
広告代理店に勤務した後、32歳で独立、バツイチ、娘が一人いるが元妻が養育している
今は小規模な広告会社を経営
40歳で小さな文学賞を受賞し、小説家としてデビューするも2冊の本を出しただけで、なかなか3作目は出せないでいる
入院している父親の容体が悪化し、故郷・函館に戻った「私」は母親から手書きの原稿用紙の束を渡される
それは父親の自伝的な手記で、気が進まないながらも読み始めた「私」は死の床にある父親の人生を辿りつつ、自分自身の来し方を振り返る
 
父と子
大抵の男の子は年を重ねると外見が父親によく似てきます
さらに生き方までも
眼には見えない何かが親から子へ受け継がれていくのは確かなことです
 
父親の手記からは気骨のある生き方が伝わってきます
初めのうちは手記の内容が自分が知っていた父親と結びつかず、創造されたものだと思っていた「私」ですが、どうやら真実だということが分ってからは、疎遠といっても良かった父親に心の中で話しかけたりし始めます
「私」が全く知らなかった父がそこにはいました
人生の節目節目に、父親が考えたこと、実行したことが今の自分となんと似通っていることか
 
父親の葬儀の日
雪で滑りやすい函館の坂道を上ってくる会葬者たち
父親の手記を読み終えていた「私」には彼らが誰であるのか、すぐ分かるのでした
 
 
『死』という重いテーマを扱っていますが
荻原さんの優しく親しみやすい筆致に、最後には穏やかで温かな思いに心がいっぱいになりました
 

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Comments 6

There are no comments yet.

こに

No title

完熟とまとさん
「死」がテーマの内容とタイトルのイメージは今でも不一致のままです。
(^_^;)
頁数の割に文字数が少なく(余白が多く)あっという間に読めてしまったのがちょっと残念でした。

2014/02/13 (Thu) 08:31

完熟とまと

No title

今晩は!(^O^)/

広告代理店とか、文学賞とか、荻原さんご自身の自伝のようにも見えますが・・・。
父や死?
ちょっとタイトルから受けるイメージとは違うようですね。(*^^)v

2014/02/12 (Wed) 20:43

こに

No title

やっちいさん
最近、荻原さんご無沙汰だったので軽く読めそうな文庫を選びました。
タイトルから想像していたのとは少し違う内容で、荻原さんらしい一作でしたよ。
(^_^)

2014/02/12 (Wed) 15:47

やっちい

No title

ワタシの好みではないタイトルだったので
スルーしていましたが
なかなかよさそうな本ですね。
チェック。チェック。

2014/02/12 (Wed) 13:00

こに

No title

トシヒコさん
訪問&コメントありがとうございます。
乱読で好き勝手な感想を書いているブログです<m(__)m>
機会がありましたらこれからもよろしくお願いします。

2014/02/11 (Tue) 10:27

トシヒコ

No title

コメントありがとうございます。

沢山の本読まれているんですね~
ビックリしてしまいました。

「死」って遠慮してしまいますが、読まなきゃわかりませんね~

2014/02/10 (Mon) 10:58
こに
Admin: こに
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