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読書三昧の日々

映画・もうひとりの息子

2013/10/29
映画&ドラマ 10

原題 La fils de l’Aute

英題 The Other Sun

2012年 フランス

 
 

テルアビブに暮らすフランス系イスラエル人の家族

18歳になった息子が兵役検査を受ける

その結果、息子が実の子ではないという信じ難い事実が明らかになる

その真実は相手側の家族にも伝えられ、壁で隔てられたイスラエルの子とパレスチナの子の取り違えだったと知る

アイデンティを揺さぶられ、家族とは、愛情とは、という問いに直面する二つの家族

彼らは最後にどんな選択をするのだろう

 
 

二つの家族が、18年前に取り違えが起こった病院で初めて顔を合わせます

二人の父親は到底受け入れることは出来ず途中で席を立ってしまいます

残った二人の母親も、父親たち同様、混乱の中にいますが

苦しみつつも子供の写真を見せあい、手を取り合い、涙ながらにいたわりの気持ちを表します

彼女たちは頭ではなく身体で理解していました

自分たちが育てた息子ともうひとりの息子がいること

もうひとりの息子も愛そうとしなければ、彼を失うことになってしまうこと

夫たちを納得させなければいけないこと

このシーンの父親たちの現実逃避のような行動も解らなくはありません

しかし、「こんな辛過ぎる時に男は逃げてしまうのか…」という思いの方が強かったです

 
 

ともかく、一番ショックを受けているのは当事者である二人の息子たちです

彼らは突然突き付けられた事実に、最初は狼狽え悩み迷いながらも、双方の両親や家族との触れ合いを通じて徐々にその真実を受容れていきます

二人の母親は、自分が産んだ息子への思いを抑え、育てた息子に以前と変わらず深い愛情をもって接します

息子たちが互いの家庭を行き来することで、「外見が似ている」だけでなく「血の繋がり」を感じさせるいくつかの特徴を見るにつけ、父親たちも徐々に現実を受容れることが出来るようになります

 
 

それぞれの『育ての親』は二人の息子を、深い愛情で慈しみ育ててきました

それは、国も民族も宗教も関係なく人間の営みとして当然のことです

幾度か映し出される大きな壁が象徴するようにイスラエルとパレスチナの対立に解決は見られませんが

自分が生きたかもしれないもうひとつの人生を思いつつ、これからの人生を歩いていこうと決心する二人の息子の未来には、希望が見えるようでした

 


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Comments 10

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こに

No title

チャコティさん
宗教対立は現代日本人には理解しにくい部分もありますね。
二人の息子が、それぞれに寛容さを持っていたことが救いでした。
思い返すに、誠に優れた映画でした。

2014/04/14 (Mon) 15:26

チャコティ副長

No title

宗教上からくる対立は親子?の縁でさえも壊してしまいますね.若い2人の進み方には感心しました.トラバ返しさせてくださいね.

2014/04/13 (Sun) 23:11

こに

No title

かずさん
トラバありがとうございます。
受け容れがたい状況を受け容れ乗り越えていく人間の基本となるものはやはり『愛』なのでしょうか。
宗教が絡むと本当に難しいですね。

2014/01/29 (Wed) 09:49

かず

No title

取り違えということだけでも大きな問題なのに、そこに宗教的要素が加わることで更に別の問題があってそこに苦しむ様子が凄く伝わってきました。
最後のショットも凄く良かったですね。
TBお願いします!

2014/01/29 (Wed) 07:22

こに

No title

k&kさん
こんな設定で希望も無いラストだったら辛すぎますよね。
ニュースでパレスチナ問題が取り上げられると、この映画を思い出します。
いつの日か解決すると良いのですが…。

2013/11/14 (Thu) 08:31

k&k

No title

こんばんは!

国家、民族が違う2組の家族に判明したトンデモナイ
事実。
戸惑いながらも事実を受け止める家族。
そして、ヨセフとヤシンに希望が持てるラスト
でしたね。

2013/11/13 (Wed) 00:38

こに

No title

Tomatoさん
父親たちが政治、宗教、信念の違いに言い争う場面があります。
日本人の間ではここまで大きな違いは無いかもしれませんが、小さなことでも苦になるものですよね。

二人の息子たちがとても愛おしく思えた映画でした。

2013/10/30 (Wed) 21:22

こに

No title

チャコティさん
ナイス!ありがとうございます。
関東みたいに人口の多い地域なら、10か所くらいで上映してもいいくらいの作品だと思うのですけどね。
機会があれば是非、お薦めします!

2013/10/30 (Wed) 21:16

Tomato

No title

これも観たい映画のひとつです。
赤ちゃんの取り違えを題材にした作品は他にもあるけれど、ここではイスラエルとパレスチナという相対立する国家と民族に引き裂かれているだけに悲劇性もひとしおでしょう。
希望の見えるラストのようで、ほっとしています。

2013/10/30 (Wed) 05:59

チャコティ副長

No title

仏版「そして父になる」ですね.これは観てみたい….
上映が少ないのがネックです.

2013/10/30 (Wed) 05:56