島田荘司「写楽 閉じた国の幻」
新潮文庫
2013年2月 発行
解説・田中優子
上巻 494頁
下巻 467頁
1794年5月から95年1月の閏月を入れて10か月間、江戸に東洲斎写楽と名乗る男がいた
修業時代の仕事も見当たらず、師も不明
わずか10か月で姿を消した写楽とは一体誰だったのか
現代編と江戸編で構成されており、現代編の息苦しさが江戸編でほっと癒される感じ
写楽の正体を突き止めるというミステリーは大変面白かったのですが主人公には全く魅力がありませんでした
東大は出たものの、出世からはほど遠く
結婚した相手の実家から見下され
自分の不注意からひとり息子を事故で亡くしてしまう
受験勉強だけが得意だった男性、社会人として生きる力はなく、唯一自分が情熱を傾けられたのが写楽ミステリーだった、といったところでしょうか
息子を喪ったことに関しても妻との関係についても、あくまで自分は一生懸命だった、悪いのはそっちだ、のような空気が感じられてなりませんでした
どうせなら、主人公の生活など適当に流して、もっと写楽追求の部分に頁を割いて欲しかったです
それにしても、写楽が誰だったのか?
もしこの小説の通りだったとしたら驚きです!
本当にそうであったら素敵です!
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