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読書三昧の日々

マーリオ・リゴーニ・ステルン「雷鳥の森」

2013/01/16
海外の作家 0

訳・志村啓子

みすず書房 大人の本棚

20047月 第1刷発行

20118月 第3刷発行

 
 

余分な装飾を一切排除した簡潔な文章ながら、戦争の記憶、森、人間と野生動物を力強く描いた短編集です

作者は、1921年、イタリア北部の小さな町に生まれます

第二次大戦中の1942年、軍曹としてソ連軍と戦う為、東部戦線に向かうも敗走

凄絶な雪の中、仲間や上官を失い身も心もぼろぼろになって故国に戻るのが1943年3月

同年7月、ムッソリーニ失脚と同時にドイツ軍がイタリアに侵攻

ドイツ軍に捕らえられた彼はナチス・ドイツの強制収容所に送られます

戦況が不利になり収容所の撤収を始めたドイツ軍は捕虜たちをあちらこちらの部隊に移動させ、炭鉱などで働かせるのですが、マーリオは果敢にも逃亡を企て1945年5月、無事故郷に戻ることができました

自分自身の戦争体験を基に書き著した「向うにカルニアが」「ポーランドでの出会い」

戦後、破壊されつくした故郷の町の再興、捕囚から生還した者たち、パルチザンとして山にこもって戦っていた者たちが自己を取り戻し、戦後を生き直す厳しい日々を描いた「アルバとフランコ」「森の奥で」「オーストラリアからの手紙」

食べていくため仕事を求めてアメリカやオーストラリアに渡った人々を描いた「オーストラリア人のニーコ」

 

戦争を生き延び、故郷に根を下した作者の生き様がそのまま見てとれる、骨太で静かで、でも大きな感動に包まれた一冊でした。

 
 

2008年6月、86歳で亡くなるまで、故郷に暮らし、森に入り、畑を耕しながら書き続けたそうです

 
 
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