熊谷達也「氷結の森」
「邂逅の森」、「相剋の森」に続く<森シリーズ>のマタギ三部作の完結編
マタギの生き方をテーマにしているという点では一貫していますが
舞台を二十世紀初頭の北東北・樺太(現サハリン)・ロシアにしており、その意味では前二作に比べるとスケールが大きくて楽しい冒険小説の印象もあり
マタギという出自を背負って生きながら、その宿命に翻弄され、自らの居場所を探すというスタイル
マタギとして生きる場所を追われ、どう時代と自分自身の折り合いを付けるか
そして、自然とどう共生していくか、生きるとは何かを問い掛ける
主人公・柴田矢一郎
戦争により家族の人生を狂わされ、理不尽な恨みを買い、故郷を捨て
まるで死に場所を探しているかのような流浪の旅の末
たどり着いた氷結の森でどのように生きていくのか
マタギに拘らず
男の生き方として捉えたほうが読める作品だと思いました
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