fc2ブログ
読書三昧の日々

映画・テイク・ディス・ワルツ

2012/08/23
映画&ドラマ 4

2011年 カナダ
原題 Take This Waltz
 
 
フリーライターのマーゴ(ミシェル・ウィリアムズ)とチキンの料理本を作るルー(セス・ローゲン)は結婚して5年目
一見、仲睦まじく心から愛し合っているように見える二人だが、実は倦怠期を迎えていて、誘いにも乗ってこないルーに苛つきを感じているマーゴ
彼女は仕事で訪れた島で出会った青年ダニエル(ルーク・カービー)に強烈に惹かれる何かを感じる
帰りの飛行機でも一緒になり、タクシーに相乗りして帰宅した二人
なんとダニエルの住まいはマーゴとルーの暮らす家の向かいだった
 
互いが気になって仕方のないマーゴとダニエルだが、マーゴは夫を裏切るつもりはない
ダニエルも、先へ進むか否かはマーゴ次第だと待ちの姿勢を崩さない
 
どうしようもなく自分の気持ちを抑えられなくなったマーゴは夫にダニエルに対する思いを伝え離婚
ダニエルの新居で新生活を始めるのだった
 
本当の運命の相手に出会ってしまった女性が夫を捨て愛に走る映画かと思いきや
それほど単純な映画ではありませんでした
 
一旦結婚してしまえば努力をする必要はなく永遠に愛が続くと信じていたルー
傍から見れば優しくて頼りがいのある夫かもしれませんが、マーゴが「子供が欲しい」と言っても「犬を飼おう」とはぐらかしたり、夫婦の問題から目をそらしているのは見え見え
マーゴが本能に従ってダニエルの元に走ったのは一般的な道徳観念からすれば悪いことなのでしょうが、当事者にとっては善も悪もないのでしょう
マーゴの告白を聞かされるルーのアップが数分間続きます
妻の裏切りに怒り、驚き、悲しみ、落胆し、自分を憐れむこのシーンのルーの百面相のような表情の変化がとても人間らしく痛々しかったです
でも、妻をきちんと正面から受容れてこなかったルーにも落ち度があったのですよね
 
男女が熱烈な恋愛の後に結婚しても、その情熱が永遠に続くと思うのは間違いでしょう
慣れや飽きからくるすれ違いや意見の相違が出てくるのは当然で、節度や距離をもって相手に接する努力をしなければ修羅場がやってくるのは当たり前だ思います
 
 
マーゴが期待したような甘美な生活が続くはずだったダニエルとの暮らし
しかし、そこにも倦んだ空気が流れ始めるのだった
 
自分でも何が不足しているのか何に満たされないでいるのかわからない
オープニングとラストに挿入される、キッチンでマーゴがしゃがみ込むシーンがそれをよく表しています
オープニングで出てくる後姿の男性はルー?
ラストはダニエル?
 
マーゴは、ダニエルによっても満たされることはなく、結局また一人ぼっちになってしまうのでしょうか
心の隙間を埋める何かが見つかれば良いのに、と思いました
 
 
 
関連記事
スポンサーサイト



Comments 4

There are no comments yet.

こに

No title

ひかりさん
コメント&トラバありがとうございます。
サラ・ポーリー監督、まだお若いのに素晴らしい観察力と表現力ですよね。
役者さんたちもよく演じていました。
それと役名の無かった『シャワー・レィディ』たちにも拍手です。

2012/08/25 (Sat) 13:56

ひかり

No title

初めまして!記事をアップしましたらご紹介されましたのでお邪魔させていただきました。
「「子供が欲しい」と言っても「犬を飼おう」とはぐらかしたり、夫婦の問題から目をそらしているのは見え見え」~そうなんですよ~
とっても優しそうに一見見えるのですが二人は微妙にずれてましたね。
私はマーゴの方にどっぷり感情移入して観賞しちゃいました。
マーゴはダニエルでも誰でも結局のところよかったのだろうと思いました。誰でも心の片隅にある思いをクローズアップして映画にしちゃったサラポーーリーが凄いなと。そしてそれを見事に演じたミシェルが凄かったですね。TBお願いします。

2012/08/25 (Sat) 11:58

こに

No title

k&kさん
トラバありがとうございます。
長く一緒に暮らしていると気づかないうちに相手を蔑にしていること、ありますよね。
男性監督では、ここまで描けなかったでしょうね~。同性としてドキッとする部分が多々ありました。
アルコール依存症の義姉が最後に放った言葉はキツかったけれど、ルーが言えなきゃ彼女しかいなかったのかな。
遊具のシーンとかカメラワークも面白かったですね。
テイク・ディス・ワルツ♪よりラジオスターの悲劇♪が頭にリフレインして仕方ありませんでした。

2012/08/24 (Fri) 18:33

k&k

No title

こんばんは!

女性の寂しさ・孤独感、愛とは・・・・、色々と考えさせられる
作品でした。
女性監督だから作れた作品でしょうか。
ミシェル・ウィリアムズの演技も良かったですが、もう一人
気になった人は、ルーの姉を演じたサラ・シルヴァーマンです。

凄いと思ったシーンは、マーゴがダニエルと暮らしだした部屋で
カメラが部屋を一周する毎に変化する所でした。
TBさせて頂きます。

2012/08/23 (Thu) 23:58