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読書三昧の日々

イアン・マキューアン「ソーラー」

2012/07/29
海外の作家 2

訳・村松潔
新潮社
20118月 発行
353
 
 
主人公は若くしてノーベル賞を受賞した科学者、マイケル・ビアード
53歳の現在に至るまで、自分の浮気が原因で既に4度結婚生活が破綻、5度目の妻・パトリスとも離婚の危機に瀕している
マイケルの外見は、ちび、でぶ、禿げで、人に与える印象は好ましくないが、頭はいい
 
このインテリ型ダメ男の人生の悲哀と、現代社会の矛盾と滑稽さを描いています
 
パトリスとのあれこれ、両親との生活の思い出、6人目となるパートナーとの生活、ひょんなことで死んだ部下の研究成果の横取り、などなどが続き
マイケル(実は部下)が研究開発した地球温暖化抑止やエネルギー問題の解決に向けた画期的なソーラー発電の実証実験寸前まで漕ぎ着けたところで物語は終わります
 
誰も彼も、将来を見据えることもせず、目先の利益を追いかけ欲望を消費するだけの現代社会
地球破滅の危機を憂う警鐘が打ち鳴らされているのが聞こえていても、欲望を抑えられない現代文明
自分の際限のない欲望に忠実で、過剰な食欲と性欲を満たすためには後先考え無の男、マイケルと全く同じです
 
この節操のない男を非難する良識的に見える人間も、一皮むけば金や権力への欲に目を血走らせた亡者にすぎないのかもしれません
 
さて、彼のソーラー発電システムは実現し地球の危機を救うのでしょうか
 
軽く滑稽な筆致ながら、現代社会が抱える問題を正面から取り扱った1冊です
 
 
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Comments 2

There are no comments yet.

こに

No title

Tomatoさん
サイテー!と思いつつ面白く読みました。
訳者あとがきに本書のソーラーシステムの実現も近いとありましたがどうなんでしょう。
イアン・マキューアン、読み続けたい作家さんです。^^

2012/07/31 (Tue) 13:09

Tomato

No title

これは、皮肉がきいていましたね。
目前の問題を回避し、欲望に突き動かされるだけの「アタマのよさ」「知性」とは何か、と考えさせられました
画期的なソーラー発電という点にも興味シンシンです。

2012/07/29 (Sun) 13:23